「話が伝わらない」という悩みを解決する方法を紹介しています。
前回の記事では、話がかみ合わない悩みについて、「話がズレる原因はどこにあるのか?」ということについて紹介しました。
今回の記事では、話のズレを解消する方法について紹介していきます。
話しのズレを解消する方法がこちら!まずは確認から始めよう!
前回の記事で紹介した先輩と後輩の会話では、クライアントに向けたデザインについて、後輩の「根拠はないが、これなら喜んでもらえる、大丈夫だと思う。」という意見と、先輩の「過去に似たデザインで外した経験があるという理由に基づく、喜んでもらえない可能性が高い」という主張で話にズレが生じてしまいました。
先輩は後輩の主張に対して、「根拠はあるの?」と問うことでズレた話の収束に向けて歩み寄りましたが、後輩は「根拠はないが大丈夫」の一点張りで話が収束することはありませんでした。
では、この時後輩はどのようにふるまうべきであったのでしょうか?
例えば、このような会話ができていたらどうでしょうか?
「このデザイン、凄く良くないですか?」(後輩)
「悪くないね。でも、クライアントの趣味ではないかも。」(先輩)
「でも、喜んでもらえると思います。」(後輩)
「前に、似たようなデザインで外したことがあるんだよ。」(先輩)
「修正したいので、似ている点を教えてもらえますか?」(後輩)
「全体的な雰囲気かな。」(先輩)
「前回のデザインと一番似ていてダメな点はどこですか?」(後輩)
「色かな。」(先輩)
「ありがとうございます。色を変更して雰囲気を調整するので、後ほどもう一回見てもらってもいいですか?」(後輩)
「よろしく頼むよ。」(先輩)
冒頭は前回と同じですが、先輩から「クライアントの趣味ではない。」という指摘を受けてから後は、先輩の経験と意見を尊重し、改善点を質問することで話し合いをより良い方向へ持っていこうとしています。
子の後輩が取った「先輩の情報を即座に取り込み、どういった方向性でどのように修正すればよいかを確認する」という行動が、話のずれを解消する最も大きなポイントとなっています。
途中で話にズレが生じそうになった時、それを解消するうえで最も大切なことは「質問して確認する」ことです。
まずはこの「確認」から始めてみましょう!
便利なフレーズで、相手に話のズレを訂正してもらおう!
話のズレを解消する最も重要なこととして「質問をして確認する」ことを紹介しましたが、人によっては過剰に質問をしてしまい、その話の大半を「確認」に費やしてしまうという人もいます。
そうなれば相手にとっては会話がなかなか進まず、むしろ迷惑になってしまいます。
ここで便利な方法として、「相手に話のズレに気づいてもらい、相手側から話のズレを修正してもらう」という技があります。
それは、以下のような便利なフレーズを使って相手に確認をお願いする方法です。
・「一言でいうと、〇〇ということでしょうか?」
・「簡単に言うと、〇〇ということでしょうか?」
・「つまり、〇〇ということでしょうか?」
・「率直にいうと、〇〇ということでしょうか?」
・「端的に言うと、〇〇ということでしょうか?」
・「要は、〇〇ということでしょうか?」
・「平たく言うと、〇〇ということでしょうか?」
このように、冒頭に上記の例のような一言を付け加えて聞き返すことで、相手は否が応でも話のズレに気づいてしまい、訂正せずにはいられなくなり、こちらから質問をする必要がなくなるのです。
また、人には自身の言動を一貫したものにしたいという心理があります。
話始めに、「一言でいうと・・・」などと「これから短く伝えます」という一言を付け加えることによって、それ以降の話では長々とした説明をすることができなくなり、自然と端的に伝える習慣が身につくようにもなります。
ズレを防止するには、「わかった」の確認が重要!!
ここまでは、ズレの発生に気が付いて修正する方法について紹介してきましたが、この「ズレに気づく」というのが実は非常に難易度の高いことと言えます。
ではここからは、そのようなズレが乗じる前に防止してしまう方法について紹介していきます。
まず、ズレが発生する原因には4つの原理が起因しています。
それは、
・物事を見る「視座」の違い
・物事を見る「視点」の違い
・物事を見る「視野」の違い
・物事を見る「視力」の違い
にあります。
分かりやすく言うと、
・どこからみているか?
・どこをみているか?
・どこまで広く見ているか?
・どこまで細かく見ているか?
ということです。
これらの要素は人によって、はたまた状況によって異なり、相手が「どこから何を見ているのか?どの範囲までをどの程度細かく見ているのか?」はその都度確認をしないことにはわかりません。
例えばこのような会話を耳にしたり、経験したことはありませんか?
「資料の作成頼んだよ!」(上司)
「わかりました。」(部下)
「本当にわかったの?」(上司)
「お任せください」(部下)
上司も一度は部下に「本当にわかったのか?」と確認をしていますが、この会話で上司は「部下が何を分かったのか?」が分かりませんし、対して部下も「自分が何を分かっていないのか?」を知ることができません。
そこで、部下としてはこのように確認をする必要があります。
「資料の作成頼んだよ!」(上司)
「わかりました。念のためいくつか確認だけさせてください。」(部下)
「企画の承認を得ることを目的に、まずは部長の承認を得る。そのために、まず今回はリスクの小さい点を中心に請求する。ただし、コストなどネガティブな点も隠さず提示する。それを、今日中にパワーポイントで仕上げて提出する。といった感じで間違いありませんでしょうか?」(部下)
「間違いないよ。ただし、コストの話は大きく書きすぎないように。」(上司)
「懸念点として箇条書きにして、そのうちの一つとして一行で紹介します。」(部下)
「それで頼むよ。」(上司)
「ありがとうございます。」(部下)
このように、部下は誤った資料を作成する非効率を回避するために、資料作成の仕様から締め切りまでを細かく確認しています。
そうすることで、上司のほうからも「コストの話を大きく書きすぎないように。」という犯す危険性の高い失敗を事前に助言してくれています。
一見丁寧すぎる確認のようにも見えますが、期限に対して「時間がない」場合に誤った資料を作成して再び資料を作り直す手間を発生させてしまうことを考えたら、たとえ確認できる時間が短くとも、その時間を目いっぱい使って確認することが必要不可欠と言えます。
こうすることで、話のズレを事前に防止することができるのです。
話のズレを起こさないために、最後まで聞こう!
ここまで話のズレ防止について紹介してきましたが、話のズレを起こさないために、大前提として最も重要なことがあります。
それは、相手の話を一生懸命に最後まで聞くことです。
そもそも「話のズレ」というのは、「どちらが正しいか?」というものではなく、お互いの話の違いが「どの程度あるのか?」、その上で「許容できる範囲であるか?」という問題といえます。
相手の話との間にあるズレを、許容できる範囲まで縮めることこそが「ズレ防止」であるといえますが、そのためには相手の話を漏らすことなく聞くことが必要不可欠と言えます。
しかし、正直なところ話を聞いていると「結局何が言いたいんだろう?」や、「話が長いな」、「お昼ご飯は何を食べよう」などいろいろな感情がわいてくることも事実です。
決してカウンセラーがカウセリングをするように傾聴することを進めるわけではありませんが、話を聞くときには以下のことに意識して、せめて一生懸命に聞くことを目標にしてみてください。
・頭を空っぽにして相手の話に集中する。
・言葉だけでなく、相手の表情やしぐさ、姿勢にも注目する。
・相手の言葉に意味や返事を考えない。
・先入観を捨てる。
・相手の話を遮らず、最後まで耳を傾ける。
場合によっては途中でコメントを求められたり、頭を空っぽにすると話を聞き漏らすのではないか?という不安もあるかと思いますが、コメントを求められれば相手が話し終わってから考えて返事をすればよいですし、慣れてくると頭を空っぽにするほうがしっかりと相手の話を聞くことができるようになります。
ぜひ、このように相手の話に集中して頭の中の自分の声に惑わされない聞き方を手に入れて頂ければと思います。
まとめ
今回の記事では、話のズレを解消する方法、そしてそもそも話のズレを起こさせない方法について、そのコツと技を紹介しました。
ぜひ、話のズレを起こさない話し方をし、もし話がズレてしまっても即座に修正できる話し方を身に着けることで、「そうじゃなくて」と言われない話し方ができるよう、今回紹介したポイントを実践していただければ幸いです。
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